9月6日の記録①
わたしはとある店で社員として働いている。
つい最近会社で災害時連絡先登録の案内がきて全スタッフに登録するよう案内していた。
来月退職予定のスタッフが言った。
「これってわたしいらなくないですか?」
わたしは即答した。
「ダメ。明日災害が起きたらどうするの?」
そう、災害はいつ起こるかわからない。
数時間後、最大震度7の地震がわたしたちの住む北海道で起きた。
その日はいつも通り深夜に仕事を終え帰宅。
なんだか疲れて風呂は面倒で、明日は休みだし起きてから入ろうと思い布団に入った。
明日は髪きりに行こうかな~なんて考えながらデレステをやっていた。
時刻は3時を過ぎて、
少し、揺れた。
まあすぐおさまるだろう…。
・・・・?
なんか・・・違う。いつもと違う。
長い。だんだん強くなってきた。
そうして焦っているうちに携帯の災害警報がものすごい音で鳴る。
<強い揺れに警戒してください>
いや!!警戒もなにも!!!!もう揺れてるから!!!!!
ガタガタガタガタすごい音。
小学生の頃集めていた食玩フィギアを入れていたケースが倒れた。
ガシャンガシャーン、
本棚から本が落ちた。積み上げていたSideMのCDが崩れた。
ドラスタ用の祭壇が崩れてグッズはどこかへふっとんだ。
電気がパチッパチッと点滅して、次にバチンッと切れた。
停電だ。
揺れが収まって家族がざわつきだした。
その間わたしは家族の元にすぐに行けなかった。
一歩も動けなかった。放心していたから。
地震だ、停電だ。
必要なものは、やらなきゃいけないことは、
一番に思いついたのがツイッターで見た
「ペンライトが意外と役に立つ」
というツイート。
停電して周りが見えない。必要なのは明かりだ。
ペンライトは居間にある!
すぐに布団から出て、グッズで埋まった床を這いながら
家族のいる居間に向かった。
「寝てるのかと思った。」
家族に言われた第一声。
失礼な、さすがに起きるわ、あんな揺れ!!
とりあえず電気がなく真っ暗で何も見えないのですぐにペンライトをつけた。
ほんとだ~~!!あっかる~~い!!!めっちゃ役立つわこれは!!
ちょうど3本持っていたので一人一本持った。
気になって外を見た。
我が家は山の上のほうで、町を一望できる位置にある。
どうやら停電はうちだけではなく町全体のようだ。
真っ暗だった。
家の明かりはもちろん、信号、街頭、なにひとつついていない。
異様な光景。
なぜこうなっているのか、
いまのは震度なんだったのか、震源はどこなのか、津波はくるのか、
停電はいつ解消されるのか。
情報はすぐには入ってこない。
お父さんがラジコでHBC(北海道放送局)のラジオをつけてくれて
アナウンサーの女性の方がいまわかっている情報を伝えてくれた。
声が震えていた。
泣きそうな声だった。
怖いんだろうなあってすごく伝わる。
そこで自分自身もずっと震えていたことを気づかされた。
強がってたけれどわたしも怖かったのかもしれない。
紛らわすように祖母に買ってもらった抱き枕をずっと抱きしめていた。
4時半を過ぎて、周りが明るくなってきたところで
こうしていても仕方がないからとりあえず寝ようって家族3人でなった。
わたしの部屋はぐちゃぐちゃだから家族に手伝ってもらって
道を確保して布団に戻った。
余震は続く。
まったく眠れなかった。
居間に戻ると父がいた。
眠れないよねって話して居間のソファーにずっといた。
まあきっとすぐに停電はなおるよ~なんて笑って話しながら目をつぶった。
だけど一睡もできなかった。
寝ようとすると余震が来て目が覚めてしまう。
結局電気はそれから丸2日間つかなかった。
いつもと違う生活が、始まった。
続く。